〇催眠トランス状態とは 、ヒプノセラピーの流れ
朝方、ふと意識がかすかに目覚めるときがあります。目は閉じたまま、体もリラックスしてまったく動かさない。動かそうと思えば動かせるんだろうけれども動かす気がまったくない。『もうすぐ、朝だな』と言う言葉がかすかに浮かんできているかも知れません。『起きてる』という意識に自然に集中している状態。いつ再び眠りに落ちても不思議ではない状態。この状態がトランス状態ー変性意識状態・催眠状態なんです。
好きな映画を見ているとき、本を読んでいるとき、何か熱中していて、あっという間に時間が過ぎていたことありますよね。『え~、もう終わっちゃったぁ』というときです。あの状態もトランス状態なんです。本当に自然で一日に何度も出たり入ったりしている状態なんです。
そして、
悩み事や揉め事について、『参ったな』と悩んでいたり、、仕事の案件について『もっといいアイディアがないかな』、と思案していることが誰にでもあります。こういう朝方の状態の時に、そのストーリーがふと頭に浮かぶ。すると不思議なことに、今まで考えたこともない、まったく気づかなかった視点でそのストーリー展開を見ていたり、もの凄くいいアイディアが浮かんできて、『あっ!』、と気づくことがある。『あっ、そうだったのか、そういうことか。あいつの言っていたことを誤解していた・・・・』『あっ、このアイデアはいいぞ。このアイディアで行こう』といった具合です。
このように催眠状態はとてもクリエイティブな状態なのです。そして、癒しの訪れる状態でもあります。良いアイデアが浮かんだり、良い視点が得られたときはほっとしたり、くつろいぎを感じたり、幸せな気持ちになります。気づき、ひらめきのあった朝は気持ちがいい。楽しく朝食を食べて、学校にいく。あるいは仕事に行く。そして、早速、その気づきに基づいて行動を起すこともある。誤解していたかもしれない人に話しかけ、今までとは違った立ち居振る舞いをしていたり。さっそく、良いアイデアを試そうとしたり。 ひょっとすると、気がつかない変化も起こっているかもしれません。誰からともなく、『何かありましたか?いつもと雰囲気が違いますね』なんて聞かれたり。
ヒプノセラピーもこれと基本的に同じだと考えてください。ヒプノセラピーとは〔トランス・変性意識〕状態を利用して潜在意識に直接働きかけ、あなたの望む変化、肯定的変化を実現させようとするものです。心地よいヒーリング音楽が流れる空間で、ヒプノ・セラピストが言葉を使って催眠トランス状態へ誘導していく。そうすると意識〔マインド〕と潜在意識と体がとてもスムースに繋がり、より深い関係が築かれて行きます。そして、言葉がけを使ってイメージを促すセラピストのガイドとともに、人は自らを癒し始める。心が解きほぐされ、満たされ、そして気づきを得る。
長い間、苦しんでいた人の場合は感情の開放、気づきの効果はよりはっきりとしたか表現となって表れるかもしれません。感情が一気に開放されて、すっきりする。そして、この気づきを得ることからさらなる学びを得ることに繋がります。気づきと学びからどんどん目の前の視界が開けて来ます。人生に前向きに生きていこうと感じ始める、かもしれません。’’『私だって・・・何とかなる、生きていける、ここにいていいんだ、わたしOKだよ』、『何これ、胸の辺りから、ぐわぁ~って喜びが吹き出てきて体中に広がっていくよぉ』
そして、こう言う気づき、学びの中から世界的な業績が出てくることもある。
ビートルズのポール・マッカートニーが名曲『イエスタディー』を書いたときは、朝起きたとき、心にこの曲が流れていたと聞きました。アインシュタインもそうだったようです。こう言う状態を経験しているらしいコメントが残っています。万有引力の法則を発見したニュートンもそうかもしれません。りんごが落ちるのを見てぱっと気がついたと言うのですから。
人生にとって本当に有意義な学びだと思いませんか?
もし、こういった経験がないならば、一度しっかり勉強してみたほうがいい、と思いませんか?
自分を知り、より自分を自分自身でコントロールできるようになりたいと思いませんか?
自分らしく生きて生きたいと思いませんか?
そして、
心と体がより深く繋がることはとても気持ちのよいリラックスした状態でもあります。結果的に自分自身でゆったり、リラックスする方法を学ぶことになります。
ゆったり、リラックスすす方法を学びたいと思いませんか?
〇トランス・催眠・変性意識状態の『今』-私見
先日、ある方と話しをしました。『人間としてできることは何か?当たり前ですが、自分は人間なので人間的な部分を大切にしたい。だから、・・・・・・・・・。』こう言う視点をお持ちの方でした。。そして、以前にも『これからの社会は・・・・結局コンピューターが・・・・』という切り口で話をし始めた人のことを思い出しました。さらに聞いていくと、コンピューターがますます発達していく社会のなかで、人は何ができるのかについて話あうことがあるのだそうです。チェスの世界一の人でさえ、コンピューターに勝てないのですから。その中で、人間としてできること。人間的なものとは何かを真剣に考えるようになったといいます。
このお話をうかがいながら考えたことがあります。意識と潜在意識と体がより深く結びつくこと。この状態を催眠トランスとか変性意識と呼ばれている状態。ホリスティックな状態。気づきが生まれやすくなる状態。まさに人間が本源的に持っている状態・能力なのです。人間らしさ、のひとつだと思います。どんな時代になろうとも、この能力を大切に育て、開発すること。人間としてできることはこれしかないのではないのかと思います。人間が未来を豊かに創造して行くとき、、ブレイクスルーが必要なときに必要な能力なんだ、と思いました。
先日、催眠学会のシンポジウムを聴講しました。高名な脳科学者の方が脳科学がだいぶ進歩したといっても、クリエイティビティ、想像力については、まだまだ分からないことがたくさんあるという趣旨の発言をされていました。わたしはふと、クリエイティビィティ・想像力、ひらめき、を解明するとはヒプノのトランス・変性意識状態を解明することなのではないのか、と思いました。
最近瞑想をする人が増えてきました。瞑想には瞑想のよさがあります。心が落ち着き、マインドフルになることの現代的な意味に気づく人が増えてきているということです。ご承知の方も多いと思いますが、マインドフルネス瞑想は認知行動療法の第3の流れと言われています。マインドフルネス瞑想では世界的に有名な高僧のお弟子さんが、”最新の仏教心理学”という言葉を発言されたことを聞いたことがあります。初めて聞いた言葉でしたが、新鮮さを感じました。そして、その方たちのリトリートに参加したときのことを思い出しました。、瞑想プロセスの中に現代ヒプノのイメージワークが導入されているからです。現代ヒプノと瞑想プロセスの内容がどんどんクロスオーバーしてきているということでしょうか。
ヒプノセラピー、マインドフルネス、医療、仏教【宗教】。これらどれもが独立する方向で発展しながら、なお多くの点でクロスオーバーしている。そして、ヒプノセラピーが扱うトランス状態は人間が本源的に持っていている能力ー想像力と癒しの能力、そして、脳科学がこれから解明しようとしている最前線のターゲット、だと思います。ならば、アナログ人間である我々がこの能力にドップリつかる、実際に経験しながら学んでみるというのも面白そうだと思いませんか?
では、
この催眠トランス状態を利用した療法・スキルには、どのようなものがあるのかを見ていきましょう。
〇暗示療法
自分のこれからの目標や課題を実現しようと決意したときに、あなたならどうしますか?
☆目標に必要な言葉、例えば自信とか勇気とか成功と言った言葉を潜在意識の中にインプットする方法があります。アファメーションを心にインプットすることによって強力に心をサポートすることができます。
☆具体的な成功へと至るプロセスを明らかにして、イメージとして経験して十分な予行演習をつんで望むという方法もあります。プロセスに意識を向けて五感をフルに使って経験をする。この方法の優れている点は予め成功体験を経験しているので、もし次第に成功への道筋・プロセスがずれていってしまいそうになったとしてもそのずれにすぐ気づくことができるということです。スポーツ選手が目を閉じて、レースのイメージ・ワークをしているところを見たことがあると思います。この方法はスポーツに限らず、あらゆる人生におけるミッションに有効です。
〇退行療法
たとえば、幼少の頃何かの出来事が起こったときに『自分が悪い子だから、こうなるんだ』と、ふと心に浮かぶようになる。大きな深刻な経験はもちろんですが、本当に些細な経験を通じてさえ、さまざまな、思い、感情、信念、思い込み、思考等を脳に植えつけられていきます。そして、同じようなことを経験するたびにそれらが心の中で強化されていく。もちろん、生きていくうえで良い信念もあるでしょう。でも、苦しくてしょうがない、何とかしたいと心から思う、信念、思い込みもあるはずです。
退行療法では人生で脳、心にインプットされ、植え付けられたトラウマの記憶ー傷心、恐れ、怒り、悲しみ、過去に下したネガティブな決断、これらによる感情を開放し、そこから学びを得ることで解決することができます。
〇インナーチャイルド療法
退行していった過去、そこにいる傷ついたインナーチャイルドを癒すことができます。傷ついたインナーチャイルドが癒されたときのクライアントの笑顔。如何に、この療法がパワフルかを知ることになるでしょう。
〇エンプティー・チェアー⇒悲歎療法(エンプティーチェアーの応用)
☆死に別れた人にもう一度会いたい。あの人なら何と言うか聞きたい。もう一度話しあいたい。強い思いを持つ方が突然亡くなった場合、その方はあなたの心にしっかりといます。だから会話ができるのです。それを実現していく療法です。
『お茶の木に囲まれた自分の庵で寝ていたときのことです。母親の夢を見ました。夢の中で彼女と私は座りながら、とても楽しく話をしていました。母はまだ若くて美しく、髪の毛は肩を包み込んで流れ落ちていました。亡くなったという事実などなかったかのように、私たちはともに座り、とても楽しく話をしていました。目覚めたとき私は、、決して母を失ってはいないのだと言う、まぎれもなく確かな感覚を持っていました。~~~~~丘の斜面はくまなく月光に照らされています。柔らかな光の中並んだお茶の木の間をゆっくりと歩きながら、私は母はまぎれもなく一緒にいることを悟りました。月光は、いつも愛情を持ってやさしく私を撫でてくれた母その人でした』 【恐れーティク・ナット・ハン著より】
☆また、現存している人に対しても使用することがもちろんできます。たとえば、家族関係や仕事関係、、友人知人と行き違いや対立が起こってしまい、相手のことが良く分からなくなってしまったような場合。あなたの心にいるその人に出てきてもらい話し合うことができます。そして、相手をより理解することが出来るようにもなります。
〇前世療法
ブライアン・ワイス博士が開発して世界的に有名になった療法です。ワイス博士の患者が突然、過去世を語り始めた。すると、どんどん病気が良くなっていく。他のアプローチ・療法では思ったほど改善しなかった患者が過去世を語れば語るほど病気が良くなっていく。本当にパワフルな効果を期待できる療法だと言うことです。
人は自分自身を癒す能力があると言われています。脳はその時々でその人が必要としている気づきをもたらす物語を紡ぐことができる。前世と言う舞台設定、方向性を与えることにより、この能力が活性化すると考えることができます。
過去の舞台から今生、つまり今の苦しみに対する理解を得る。『なるほど、そうだったのか』と腑に落ちる。
この療法を経験した人達の中には自分の今生での使命を知ったと言う人もいます。天職が分かったと言う人もいる。リアリティーをもった体験から今生での学びを得て、今生での生を真に有意義にし、納得することができる。そして、今生の生を、冷静に、しっかりと受け入れ、ひょっとすると、“次~”に思いをはせることができるかもしれません。
何度も前世療法を経験することによって、多くの気づきを得て人生を前向きなものにしていくことができます。
本当に前世があるのかないのか。これは誰にもわかりません。あるのかもしれないし、ないのかもしれない。人それぞれの判断でまったくかまいません。この前世療法を学びながら一緒にこのことについて話し合うのは楽しいことです。良い経験をした後、気がつかないうちに、普段の世間で見せている見えない鎧を脱いで、本当に朗らかな、あるがままの自分で話をしている光景を良く見ます。前世があるにせよないにせよ、前世があるとしか思えない、と思う心のプロセスについても説明します。
☆ ISSHOにて採用している催眠講座はABH〔米国催眠療法協会〕
ABH〔米国催眠療法協会〕

ヒプノセラピーの先進国アメリカにおいて2番目に大きなヒプノセラピー・プロフェッショナル集団・団体です。1982年にA・M・グラズナー博士によって設立されました。現在は世界中の1000以上にも及ぶ催眠教育団体が加盟しています。世界的規模にまで成長してきました。
注意:ABH認定講座、およびABHについて詳しくは認定講座案内をご覧ください。
ISSHOでは以下の2つの講座を受講できます。